故に、この手の本は普通、よくある雑誌の特集と同様、「自分が騙されないように」読むものであろう。
しかし、この本の場合、著者の手際の良さが、読者を「中古車業って大変なんだなぁ」という同情の方向へ強く導く。

相場の世界に生きるという「奥深さ」、不景気で増えた「顧客のいちゃもん」、派手に見える業界での「振る舞い方」、全てが我々に「大変だよなぁ、お互いに」という、身近な同情を引き起こす。

勿論、様々なケースを取り上げて、我々が中古外車を購入する際のポイントも教えてもらえるが、「知識を仕入れるぞ」という気合いは退けられて、気づくと「気負わずこの世界を知ってみてくださいよ」という著者のささや!きに負けてしまう一冊である。

リラックスして読みながら、世間の奥深さが知りたい時に最適ではないだろうか。私なら南の島で寝そべりながら読みたいと思う。